国内外で活躍するバイオリニスト・松田理奈が、ヴィヴァルディ、メンデルスゾーン、チャイコフスキーによる“三大バイオリン協奏曲”を、梅田俊明・指揮、日本センチュリー交響楽団との共演で、一挙に演奏する贅沢なコンサートが、7月18日(月・祝)、大阪のザ・シンフォニーホールで開かれる。松田理奈がインタビューで語ったコンサートへの意気込みや大阪との縁、母としての横顔を紹介する。
高度な技巧と情緒豊かな表現を得意とする、バイオリニストの松田理奈。昨年11月に東京で初めておこなった同コンサートでは、3つの大曲を見事に演奏し切って、満員のサントリーホールを熱狂させた。
「コンサートのお話をいただいたとき、『コンチェルト3つの公演なんだけど・・・』と言われて、『私は、どのコンチェルトを弾くんですか?』と聞いたら『全部』と。練習よりも先に、ジョギングを始めたりしました。その甲斐あって、昨年のコンサートは、最後までまったく疲れなかったですし、本当に楽しかった。バイオリニストとして、いい挑戦をさせていただきました」
今年も体力づくりから始めているという。
「今回はジョギングだけでなく、いろいろな角度から整えています。瞑想も取り入れたいな、と思っているのですが、子育てしていると、なかなか時間をとるタイミングが難しくて……」
私生活では小学4年生の一人娘の母でもある。コロナ禍で自粛中、娘が肌荒れを起こしたときには、腸内環境を整える自然食の勉強をし、「ナチュラルフードマイスター」や「腸活アドバイザー」の資格まで取得したという。子育ての苦労もあるが、ほっこりエピソードも。
「周りに気を遣う子なので、私がコンサートの本番が近いと、大変そうだな、と察して、料理を作ってくれるんです。とてもありがたいのですが、後片付けが逆に大変なんですよね(笑)」
3歳からバイオリンを習っていた松田。ほかにもいろいろな習い事をしていた中で、意外にもバイオリンが一番苦手だったという。転機は小学4年生のとき。父親の仕事の都合で引っ越した地で、転校生だから、という理不尽な理由で同級生からいじめられたことが、バイオリンにのめり込むきっかけになった。引っ越し先にピアノはまだ届いておらず、一番好きだったスイミングも近所にスクールがなかった。唯一すがれるものが、バイオリンだったという。
「ある日、学校から泣きながら家に帰って、自分の部屋にあったバイオリンを手に取って無我夢中で弾いていたら、バイオリンの振動が『大丈夫だよ』って言ってくれているみたいで、とても温かく感じたんです。その経験が今の私の原点になっています」
“裸足のバイオリニスト”としても有名で、長いドレスで足元は見えないが、本番はいつも裸足で舞台に立つ。それも、“振動”を感じるためだ。
「ホールの床は木が使われていることが多いので、よく響くし、足裏から音や振動が自分に返ってくる。自分にとっては、裸足が一番いい気がしています」
横浜出身だが、実は両親ともに大阪出身とあって、大阪との縁も深い。
「親戚はみな大阪にいます。子供のころからしょっちゅう遊びに来ていましたし、広島に住んでいた頃は大阪の小栗まち絵先生にレッスンを受けていたので、月に1回は新幹線で通っていました。今でも、新大阪に降り立ったときの空気感にホッとするんですよね。コンサートを聞きに来てくださる大阪のお客様の波長も大好きですし、とっても居心地がいい場所です」
大阪公演では、梅田俊明の指揮による日本センチュリー交響楽団と共演する。
「梅田さんは、長い間、学生の頃から何度も共演させていただいて、とても信頼しています。また、久しぶりの共演となる日本センチュリーは、オケ内でアンサンブルをとても密に楽しんでいるところが魅力につながっているオーケストラだと感じています」
聞きどころは、松田が弾き振りをするヴィヴァルディ。
「弾き振りといえども、私もずっと弾いているので、背中と肩の動きでアピールしながら、演奏をまとめていくイメージです。ヴィヴァルディは、小編成でアンサンブル性が高いので、より奏者たちとの呼吸も大切になります。リハーサルから、皆さんとしっかりやり取りをして作り上げていきたいですね」
これまで何度も出演しているザ・シンフォニーホールでの演奏も楽しみだという。
「久しぶりに、このシンフォニーホールに戻って来られて、本当にうれしい気持ちでいっぱいです。昨年のサントリーホールより規模は少しコンパクトなのですが、シンフォニーホールならではの“響き”が楽しみ。お客様の顔が見える距離感で、一緒に音楽を楽しませてもらえたら、うれしいです」
「松田理奈 三大ヴァイオリン協奏曲の饗宴」
■日時:7月18日(月・祝)14:00開演
■会場:ザ・シンフォニーホール
■料金:S席7,500円、A席6,500円、B席5,500円、C席4,500円(全席指定・税込み)
※未就学児の入場不可
問い合わせは、キョードーインフォメーション 0570・200・888(11:00~16:00 日・祝休み)まで。